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ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 メディカル カンパニー

心房細動治療の質向上のために
医療技術の習得と向上をサポート
心房細動治療の質向上のために
医療技術の習得と向上をサポート

2017年1月11日

「心房細動」とその根治を目指す「カテーテルアブレーション治療」について
心房細動とは、心房といわれる心臓の上の部屋が小きざみに震え、十分に機能しなくなる不整脈の1つです。自覚症状は、動悸やめまい、胸の不快感を感じる、などですが、自覚症状がない方もいらっしゃいます。心房細動自体は、死に至る病気ではありませんが放置すると「脳梗塞」や「心不全」を招くこともあります。

心房細動が起こる理由としては、心臓を動かすための電気信号が、本来発生する場所(右心房の洞結節)以外から発生することが挙げられます。異常な電気信号により、心房全体が無秩序に興奮し、拍動が100~150回になるほか、血液を送り出すポンプの力も低下し血液のよどみができやすくなります。このため、血栓ができやすくなり、この血栓が脳に運ばれると、脳梗塞を引き起こします。

治療には、心房細動を起こしやすい病気*1の治療や原因の改善、心房細動自体を押さえる薬の投与や、カテーテルによるアブレーション治療*2、また脳梗塞の原因となる血栓を予防するための薬の投与などがあります。なかでも、アブレーション治療は、不整脈の原因となっている異常電気信号を発する心筋を焼灼し、心房細動を根治できる可能性があります。

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第10回 AF Learning Journey を開催!
2016年10月2日、ジョンソン・エンド・ジョンソン インスティテュート(東京サイエンスセンター)(神奈川県川崎市)において、「AF Learning Journey」が開催されました。これは、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 メディカル カンパニー(当社)が提供するCARTO3システム(次頁参照)を用いた、心房細動に対するカテーテル・アブレーション治療の技術習得支援を目的としたプログラムです。2014年10月の第1回の開催以来、累計で、医師107名、臨床工学技士46名が参加されています。

通算で第10回目の開催となる今回は、医師・臨床工学技士17名が出席されました。日本のカテーテル・アブレーション治療のパイオニアである済生会熊本病院 奥村先生と弘前大学医学部附属病院 木村先生の卓越した技術を目の当たりにでき、直接の指導を受けられるとあって、参加者の皆さんは熱心にトレーニングに取り組んでおられました。

当社は、プロフェッショナルエデュケーションという枠組みの中で、医療機器の安全で適正な使用に向けた、技術の習得と向上をサポートする医療者向けのプログラムをご提供しています。そのうち、当社のバイオセンスウェブスター事業部では、心房細動に対するカテーテル・アブレーション治療を、より安全で的確に行っていただくための支援を目的に、様々なプログラムを展開しています。

日本の心房細動カテーテル・アブレーション治療の質向上を願って、奥村先生と木村先生のご協力の下、同事業部では今後も同様のプログラムを継続していきます。


より良い医療を提供するために
テクノロジーの進歩に合わせた技術の習得を

心房細動に対するカテーテル・アブレーションの治療に関する技術は、この5年ほどで改善しています。これは、以前は経験と勘に頼るしかなかった、カテーテルの接触力(コンタクトフォース)や圧の方向が、技術によって可視化される、X線による透視時間も削減されるなど、医療機器テクノロジーの進化がもたらしたといっても過言ではありません。このように進化する医療機器を使いこなしていくことは、われわれ医療者の使命であると考えており、そのためにも、講習会や医療機器メーカーの技術者による、医療者向けの指導が必要不可欠です。

奥村 謙 先生 (済生会熊本病院 循環器内科 最高技術顧問)


*1 心房細動を起こしやすい病気やリスク因子として、高血圧、糖尿病、心筋梗塞、心不全、僧房弁疾患、甲状腺既往亢進症、慢性腎臓病、加齢、メタボリック症候群、飲酒、などがいわれています。
*2 カテーテルと呼ばれる管を、主に脚の付け根にある太い血管(大腿静脈ないし大腿動脈)から入れ、カテーテルの先をレントゲン撮影で透視しながら心臓まで到達させ、心筋のうち、不整脈の原因となっている異常電気信号を受ける部分を焼灼する治療。

ジョンソン・エンド・ジョンソンが提供する医療者向けトレーニングプログラム
ジョンソン・エンド・ジョンソンが、不整脈治療技術の発展を支援するために医療者向けに提供しているプログラムは、AF Learning Journey にとどまりません。これまで、「医療テクノロジーの普及/安全適正使用」、「地域医療格差の是正」、「不整脈治療のスペシャリストの増加」の3つを目標に、医療者向けのトレーニングプログラムを提供しています。

CARTOシステムは、2016年に誕生20周年を迎えました。バイオセンスウェブスター事業部では、製品の提供を通じて、不整脈治療の次世代のスペシャリストへのサポートをさらに強化していきます。

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ジョンソン・エンド・ジョンソンの3Dマッピングシステム 「CARTO®3」*3
CARTOシステムは、不整脈の診断から治療までをサポートする3Dマッピングシステムです。 心臓の立体画像をコンピュータ画面に映し出し、心臓の形態と不整脈の状況を術者に同時に提供します。また、磁界と電界を利用して心腔内に挿入した電極カテーテルを画像上に視覚化し、カテーテル操作をリアルタイムに支援します。
バイオセンスウェブスターが開発したCARTOシステムは、電気生理学的情報と3次元の解剖学的情報がコンピュータ上でリアルタイムに統合された初めての不整脈診断機器です。「CARTO®3」は長年築いてきたテクノロジーの集大成ともいえるシステムで、当社がご提供する各種モジュールを追加導入することで、テクノロジーで手術をバックアップします。

≪手術時間・放射線被ばく時間の短縮≫
従来のカテーテル・アブレーションはX線透視下でカテーテルの位置を確認しながら手術を行っており、患者さんや術者の放射線被ばくが大きな課題となっていました。CARTOシステムでは放射線による透視画像と3Dマッピングの映像を合成し、透視を行わなくてもカテーテルの位置がリアルタイムにわかるため、被ばく時間が軽減しました*4。CARTOシステムの利用に際しても放射線透視下による調整は必要ですが、その時間は、システムのアップデートによって短くなっており、「CARTO® UNIVU」モジュールでは、放射線照射時間をおよそ5分にまで短縮できると報告されています*5。放射線の照射時間が短縮されることで、患者さんはもとより術者の被ばく量も低減することができます。

≪最新のモジュール、ツールを導入することで進化していくシステム≫
マッピング、視覚化のソフトウェアは日々進化を続けています。
「CARTO®3」は最新のモジュールをインストールすることで、機器そのものは入れ替えることなく、当社の最新のマッピングテクノロジーを使用することができます。
また、システムのパフォーマンスを最大限に発揮させるための周辺ツールもご提供しています。従来製品よりも、より精密な技術を用いた「THERMOCOOL SMARTTOUCH® SF」を発売しました。

*3 販売名:バイオセンスCARTO 3 承認番号:22200BZX00741000
*4 Hindricks et al. “Effect of Electroanatomically Guided Versus Conventional Catheter Ablation of Typical Atrial Flutter on the Fluoroscopy Time and Resource Use: A Prospective Randomized Multicenter Study” J Cardiovasc Electrophysiol, 2009;20(7):734-40
*5 Huo et al. “Reduction of radiation exposure during atrial fibrillation ablation using a novel fluoroscopy image integrated 3-dimensional electroanatomic mapping system: A prospective, randomized, single-blind, and controlled study” Heart Rhythm,2015;9:1945-55.

製品について
アブレーション治療では、心筋のうち、不整脈などの原因となる異常電気信号を受ける部分を焼灼します。この焼灼を担うカテーテルの新製品「THERMOCOOL SMARTTOUCH® SF(以降、STSF, 販売名:サーモクール スマートタッチ SF 承認番号:22800BZX00244000)」が2016年10月に日本国内で導入され、順次、医療機関でお使いいただいています。さらに精密なテクノロジーを備えた「STSF」の特徴をお伝えします。

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①適応疾患は、心房細動*、心房粗動、心室頻拍**
2030年には、心不全の患者さんは130万人を超えると推計されています*6。その一因とされる不整脈においてアブレーション治療は有効な治療法として重要な位置を占めています。STSFは不整脈の中でも心房細動*、心房粗動、心室頻拍**を適応症としてカバーしており、より多くの不整脈患者さんにアブレーション治療を提供することに貢献しています。
* 薬剤不応性症候性の発作性及び持続性心房細動
** 他の治療が奏功しない心室頻拍

②多孔性チップで、より負担の少ない体液管理
焼灼時に血栓ができるリスクがあるため、通常、生理食塩液をカテーテル先端部分の電極から流して、電極を冷やします。STSFは、56の穴から均一に生理食塩液を流すことで流量を従来製品の半分に抑えて、従来の冷却効果を実現し、アブレーション中及び術後の体液管理負担を少なくしました。

③コンタクトフォースと先端アングルのモニタリングが可能
より安全な手技を実現するため、焼灼時に心筋に触れるカテーテル電極部分の接触力(コンタクトフォース)と力のかかっている方向を示す先端アングルをモニターします。

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なぜコンタクトフォースモニタリングが重要なのか?
カテーテル先端と心筋の接触が不十分だと、焼灼範囲が狭まり、術後再発率に影響を及ぼす可能性が示唆されています*7。SMART-AF Studyは、症候性発作性心房細動における、SMARTTOUCHを使用したアブレーション治療を米国において評価し、後ろ向きに解析した研究です*8。術後12カ月時点で心房性不整脈が発症しなかった割合について、全体で74%であったところ、あらかじめ設定していたコンタクトフォースの通電時間中達成割合が85%以上であった場合のみを対象とすると、無発症率が88%であったと報告されています*9

*6 Okura et al. “Impending Epidemic Future Projection of Heart Failure in Japan to the Year 2055” Circ J, 2008;72:489-91.
*7 Ito, Okumura et al. “Reduced residual conduction gaps and favorable outcome in contact force-guided circumferential pulmonary vein isolation” Europace. 2016 Apr;18(4):531-7.
*8 Natale et al. “Paroxysmal AF Catheter Ablation With a Contact Force Sensing Catheter Results of the Prospective, Multicenter SMART-AF Trial” J Am Coll Cardiol, 2014;64:647-56
*9 Biosense Webster, Inc., October 2014. SMART-AF Final Clinical Study Report (Data on file)

以上

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