腰の痛みにまつわる病気として、よく耳にする椎間板ヘルニア。けれど、病名は知っているものの、詳しい症状や治療法はわからないという人が意外に多いようです。椎間板は身体のどのあたりにあるのか、椎間板ヘルニアとはどういう病気なのか、さらにはどのような治療法があるのか…など、この機会に、基本的な知識を知っておきましょう。
人間の背骨(脊椎)は、24個の骨(椎骨)で構成されていますが、椎骨と椎骨の間にはクッションの役割を果たす「椎間板」があります。そして椎間板は、中心の「髄核」と髄核を取り囲む「線維輪」で構成されています。これを生卵にたとえると、黄身が髄核で、黄身のまわりを取り囲んでいる白身が線維輪というイメージです。
身体の中の一部が、あるべき場所から出てきてしまった状態を「ヘルニア」と言います。
よく知られている「脱腸」も、多くの場合は、本来ならお腹の中にあるはずの腹膜や腸の一部が鼠径部(そけいぶ)の筋膜の間から皮膚の下に出てくる「鼠径(そけい)ヘルニア」と呼ばれる病気です。
いわゆる「でべそ」もまた、生後間もなくへその緒が取れた後に、おへそがとびだしてくる状態で、「臍(さい)ヘルニア」と呼ばれる病気です。
椎間板の中の髄核が飛び出してしまった状態を「椎間板ヘルニア」と言います。生卵にたとえるならば、黄身が白身を突き破って出てきてしまったのと同じです。
原因としては、加齢や重いものを持ったときの負荷などが考えられています。ちなみに、脊椎は下へ行くほど重さがかかりやすいため、腰に近いところほど椎間板ヘルニアが発症しやすくなります。
脊椎の周りには多くの神経があり、飛び出した椎間板の髄核がそれらを刺激することによって、痛みやしびれなどの症状があらわれます。椎間板ヘルニアでは激痛を訴える人が多いのですが、それは多くの神経が存在している脊椎の周辺で起こるためです。症状がひどい場合は痛みで眠れないこともあります。
腰に強い痛みを感じる病気に「ぎっくり腰」がありますが、椎間板ヘルニアの場合は、腰だけではなく、足のしびれや痛みも伴います。とはいえ、自己判断は禁物です。医師の診断を受け、適切な治療を受けましょう。
椎間板ヘルニアの基本的なことが分かったら、治療法について見てみよう